店舗スタッフからのお知らせ

不器用なのにモノ作り大好きな中島です。

花巻店

今回は以前からお客様よりご依頼されていたものを作ります。

それは「シアター用」のスピーカーです。

「シアター用」となると真っ先に思い浮かぶのが「サラウンドシステム」ですよね?

私も以前に4チャンネル式のサラウンドシステムを使っておりましたので、その良さは理解しているつもりです。

最初は疑似的サラウンド回路をベースに4スピーカーで製作しようかと思っていたのですが・・・

このシステムは臨場感が出るものの、出力効率の問題や面倒なスピーカー配置の問題、そして「音像のピンボケ」などの問題も懸念されます。

お話しは変わりますが、オーディオ評論家の長岡鉄男さんをご存じでしょうか?

オーディオ好きな方なら一度は耳にしたことのあるお名前だと思いますが、残念ながら2000年に他界されました。

「高価なものが決して高性能とは限らない」など明解かつ辛口な評論で音響メーカーを震え上がらせ、

700種類にも及ぶ独創的なスピーカーを設計し、

小口径のユニットを使った自作スピーカーで量販品の音を凌ぐ傑作を生みだしました。

原音追求の方向性や用途別の特化型設計であることなどから「アンチ長岡派」の方も相当数いらっしゃいますが、その独自理論や設計思想は現在でも多くのメーカーに影響を与え、愛好家からも支持されております。

そんな長岡氏が設計したのがこの「マトリックススピーカー」です。

フロント3スピーカーのみのシンプルなシステムながら、サラウンドに近い臨場感を作れるということです。

「これだ!」と思いました。

音の信号を足したり引いたりして3個のスピーカーに適切な信号を振り分けます。

スピーカーの配置は中心を基点にして左右41.7°傾けられていて、これにより立体感を出すとのことです。

これを基にアレンジ(?)を加えて製作したいと思います。

今回は出来る限り手持ちの端材で作ります!

板厚は全体的に薄いのですが、シアター用なので箱鳴り(共鳴)上等です!

スピーカーは原点に立ち返り、テスト用にとっておいた「ダイソー300円スピーカー」を使います。

工作のハードルは上がりますが、バッフル面(スピーカー取付面)は見た目と強度を考慮して曲面にします。

長岡氏の設計ではバスレフポート(筒状の穴)で音が真後ろに抜けますが、今回はバックロードホーンで左右側面に抜くことにより3.1ch風にしようというと思います。

高音は指向性が高いためスピーカーの向きがシビアになりますが、低音は指向性が低いことからホーンで空間の演出に使おうというわけです。

ただし真ん中の「箱」は密閉型にしたいと思っています。

この「アレンジ」が吉となるか凶となるか・・・楽しみでもあり恐怖でもあります。

まずは板を曲げる作業ですが、薄い板なら熱湯に浸すだけで容易に曲げることができます。

カーブを手で修正しながらガムテープで固定し5日間乾燥させました。

スピーカー取付け用の穴を空けたのですが、一番薄い部分は2㎜以下です・・・ちょっとヤバいかも・・・。

30㎝×30㎝のMDF材とベニヤ板はノコギリで切り出してヤスリで微調節。

底板となるMDF材に図面を書きましたが、寸法の関係でホーンは設計図より少し簡略化しました。

曲げた板がヤバそうなので先に接着してしまいます。

その他の部品も製作しました。

次に配線なのですが、長岡氏が考案の配線には注意書きがあり、アナログタイプでアンバランス回路のアンプを使わないとアンプが壊れるとのこと。

確かに長岡氏の配線ではR-が短絡しておりますのでバランス型では負荷がかかりそうです。

しかし私の手持ちのアンプは全てデジタルでバランス回路のアンプです。

とりあえずネット検索でいくつかの配線図を見つけました。

Ⓐは長岡案です。

ネットではこの回路のままデジタルのBTL方式アンプを使って鳴らしている方もおられますが、絶対にやめた方がいいと思います。

下手をするとアンプが発火する危険もあります。

Ⓑとⓒはよく考えられたものだと思います。

どちらにするか悩みましたが、直感的にⓒを採用します!

しかし、中にはマトリックス回路と称してⒹのように左右の音の分離ができていない配線もありました。

単純に3個のスピーカーを鳴らせばいいというお話ではありませんので、マトリックス効果という点では期待薄かなと思います。

配線は複雑に思えるでしょうが、Y型配線2本と単線2本を作ればOKです。

箱は前回作った大型ヤスリで面取りして、配線と吸音材を入れたら天井板を接着します。

マスキングをしたら、いよいよ苦手な塗装です・・・。

次回は最終組み立てから緊張の試聴までをご紹介したいと思いますが、塗装は時間がかかるので少々間が空くかも知れません。

お付き合いのほど、よろしくしくお願いいたします。